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よくある買取店や質屋さんなどは古物営業法をもとに運営しており、様々な商品を買取するにあたっていくつかのルールがあります。しかし今回の記事のテーマになっている未成年の買取については古物営業法の中では規則がありません。
引用
一 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
古物営業法にある買取に関する項目は、上記古物営業法第十五条に記載されている身分証などを使った本人確認義務のみとなります。しかし実際に買取に関わる規則は古物営業法だけではなく、各都道府県の条例や民法での規則もあります。下記にてそれらについて詳しく解説させて頂きます。
2022年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18歳で成人となりました。したがって、17歳以下が未成年となります。
18歳未満の未成年でもブランド品を売ることができるのかという問いですが、結論から申し上げますと買取を行う事は可能です。買取ができる年齢に関しては各都道府県の条例や民法に記載されており、それに基づいて買取店では18歳未満のお客様に対する規約などを設けております。こちらではまず最初に各都道府県ごとの条例からいくつかピックアップして解説していきます。
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第二十三条 古物商は、青少年から古物(青少年が着用した下着(青少年がこれに該当すると告げたものを含む。以下「着用済み下着」という。)を除く。)を買い受け、若しくは交換し、又は青少年から古物の売却若しくは交換の委託を受けてはならない。2 質屋は、青少年から物品(着用済み下着を除く。)を質に取って、金銭を貸し付けてはならない。
3 古物商又は質屋は、古物の売却等又は物品の質置き等を申し出た者について、身分証明書等の提示を求める等の方法により青少年でないことを確認しなければならない。ただし、当該申出を行った者が明らかに青少年でないと認められる場合は、この限りでない。
4 前三項の規定は、当該青少年が保護者と同伴する場合又は保護者の委託を受け、若しくはその承諾を得ていると認められる場合は、適用しない。
引用
第十五条 質屋(質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第一条第二項に規定する質屋をいう。以下同じ。)は、青少年から物品(次条第一項に規定する物を除く。)を質に取つて金銭を貸し付けてはならない。2 古物商(古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第二条第三項に規定する古物商をいう。以下同じ。)は、青少年から古物(次条第一項に規定する物を除く。)を買い受けてはならない。
3 前二項の規定は、青少年が保護者の委託を受け、又は保護者の同行若しくは同意を得て、物品の質入れ又は古物の売却をするものと認められるときは、適用しない。
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第18条 質屋営業法(昭和25年法律第158号)による質屋は、青少年が保護者の委託又は同意を受けた場合その他正当な理由がある場合を除き、青少年から物品を質に取らないようにしなければならない。2 古物営業法(昭和24年法律第108号)による古物商は、青少年が保護者の委託又は同意を受けた場合その他正当な理由がある場合を除き、青少年から古物を受け取らないようにしなければならない。
※青少年とは18歳未満の事を指します。
上記は代表的な都道府県の育成条例になります。これらの内容を簡単にまとめますと、
・18歳未満であっても保護者の同伴、または同意書など委託を受けた場合は売却することができる
・18歳以上の場合は未成年でも青少年でもなくなるので保護者の同意がなくても売却することができる
となります。各都道府県ごとに書き方の違いなどはございますが、どの都道府県も内容に関しては全て同じものです。
ところで、2022年3月31日までは、青少年健全育成条例上では大丈夫であっても、実際の買取では18歳・19歳でも保護者の同伴、または同意書が必要ということがありました。その理由について次の項目でご説明させて頂きます。
青少年の育成条例では売却できるはずなのに、なぜ同意書が必要なお店があったのか。不思議に思われる方もいらっしゃると思いますが、こちらは育成条例だけではなく民法も関わってくる項目であるため制限が設けられています。その理由となる民法がこちらです。
●民法
引用
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
こちらの内容を簡単にまとめますと、
・未成年であれば買取を行ってもらう際に保護者の同意が必要である
・保護者の同意なくブランド品などを販売した場合、その取引を取り消す事ができる
となります。法律行為という言い方ですと難しく聞こえるかもしれませんが、ブランド買取店や古本屋などで商品を買取してもらうことは法律行為にあたります。つまり同意書なしで未成年から買取を行った場合、民法上取引のキャンセルが可能となります。ですのでほぼ全ての買取店では保護者の同伴や同意書を求められるのです。
これが、民法改正前は20歳で成人とされていたため、18歳、19歳については、古物営業法や育成条例では問題がなくても、民法上保護者の同伴や同意書が求められるということが生じていたのですが、民法改正により18歳で成人となったため、2022年4月1日以降の現在、18歳以上であれば、保護者の同伴や同意書は必要ないということになりました。
おこづかいなどのように、保護者が「目的を定めて処分を許した財産」「目的を定めないで処分を許した財産」についての処分(売買など)は、民法上、可能とされています。但し、上記のように育成条例で、青少年(18歳未満)から古物を買い取るには保護者の同伴や同意書が必要ということになります。
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
ここまでは実際にブランド品などをお店に持っていった場合のお話をさせて頂きました。しかしこれがメルカリやヤフーオークションの取引となった場合はどうなるのでしょうか?誰でも手軽に利用できるインターネットのフリマですが、こちらに関しては運営会社によって利用規約が存在します。今回はヤフオクとメルカリの2社についての利用規約をご説明させて頂きます。
第3条
②未成年者の場合
ユーザーが未成年者である場合は、事前に親権者など法定代理人の包括的な同意を得たうえで本サービスを利用しなければなりません。ユーザーが未成年者である場合は、法定代理人の同意の有無に関して、弊社からユーザー又は法定代理人に対し、確認の連絡をする場合があります。
メルカリ規約第3条 本規約への同意及び本規約の変更より抜粋
こちらはメルカリの利用規約に掲載されている1文ですが、要約すると未成年である場合保護者の同意がないと利用する事ができないという内容の事が書かれております。メルカリも店頭での買取の場合と一緒という事ですね。
第1章 第2条A. 出品に必要な利用資格
(ア) 満年齢が18歳以上であること
未成年者が出品を行う場合は、事前に保護者等の法定代理人の同意を得ていただく必要があります。
その他、利用者の年齢に関し特にご注意いただきたい事項はこちらのページに記載されていますので、よくご確認のうえご利用ください。
ヤフオク規約 第1章 ヤフオク!ガイドラインの特約 第2条より抜粋
こちらはヤフオクの利用規約に掲載されている1文です。一見18歳以上であれば問題なく利用できるように見えますが、未成年者が出品を行う場合は~という文言が記載されていますのでメルカリと同じく、未成年である場合は保護者の同意がないと利用する事ができません。もし同意なしに利用されている場合は規約違反となります。ですのでヤフオクに関しても店頭での買取の場合と一緒という事になります。
2022年4月1日より民法が改正されて成年年齢が20歳から18歳へと引き下げられました。現状ですと上記のように未成年(18歳未満)の場合はブランド品などを売るのに保護者の同意が必要となりますが、18歳以上であれば保護者の同意がなくてもブランド品などの売却や、ヤフオク・メルカリなどのフリマサイトを利用する事が可能となります。
最後までこの記事をご覧頂きありがとうございます。実際の法律なども絡めて説明しているため少し硬い文章になっている箇所もございますが、ご理解頂けましたでしょうか?今回ご紹介させて頂いた内容は買取店のルールに加えて、日本の法律で定められているものでもあるため絶対に守らなければなりません。ブランド品などの売買はルールを守って正しく行いましょう!
監修者:寺垣俊介(弁護士)
弁護士
ネクスパート法律事務所
第二東京弁護士会所属
様々な法律に精通し、所属弁護士30名を要する法律事務所の代表を務める。
監修する記事については、読者に有益な情報を提供するために、正確性だけでなく読みやすさにも配慮している。
この記事を書いた人
代表取締役 久保
ブランドハンズの代表取締役社長
ブランド買取業界歴10年